概要

ダイナミック・パネル・モデルの推定については、すでにGMM に基づいていくつかの方法が提案されている。これらの方法の弱点は 小標本においてのバイアスが大きく、また検定のサイズのゆがみが極 めて大きいことである。
 本研究においては、これまでの方法が追究してきた(漸近的)効率性 を犠牲にして、代替的な推定方法を提案する。特徴は、@GMMMにお ける変数の並べかえ、Aバイアス修正の方法、B分散共分散行列修 正の方法、という3つの手法を用いることにある。
 小標本実験の結果において、提案された推定法は、ダイナミック・パ ラメーターの広い範囲において、バイアスの除去、検定のサイズの改 善に効果的であることが示される。