概要

市場の開閉に伴った断続的な高頻度データに基づく実現分散(Realized Variance, RV)に対する平滑化の問題を議論する.為替レート等と異なり,株価 市場では市場の開閉に伴った断続的な高頻度データしか得られず,対象期間全域 で高頻度データを必要とする通常のRVの理論の直接適用は妥当ではない.この問 題に対処するため,我々はHansen and Lund (2005)による先行研究の枠組みを日 本市場の特徴にも適応できるように拡張し,観測値が得られない期間に対する一 種の平滑化として,各期間のボラティリティに対するウェイト付けの処方箋を定 式化した.我々はまず,シミュレーション実験を通じてこのウェイトの(IVの推 定量としての)有用性を示し,それを踏まえて,実証研究として2004年1月から 2006年12月の東京証券取引所1部上場の個別銘柄とTOPIXに対する最適ウェイトを 推定した.