概要

長期記憶過程の拡張として、階差パラメータが時間に依存して変化するモデルがある。このようなモデルのパラメータの推定問題に対して、ウェーブレット解析を用いた先行研究においては、変換前の時間領域における確率過程と変換後のウェーブレット係数との関係に対する考え方の違いから、異なる推定手法が提案されている。本研究では、そのモデルの特殊例である構造変化点を含んだ長期記憶過程を対象として、ウェーブレット係数を確率過程の有限長フィルターによる加重和として解釈する視点からウェーブレット変換を用いた最尤推定法を拡張することにより、構造変化点とその変化前後のパラメータの同時推定問題について考察を行う。