概要

マルコフスイッチングモデルを応用した転換社債価格評価の実証分析 概 要1:実務で転換社債をプライシングするベンチマークとして現在でもBSモデルや二項モデルが使われている。これらのモデルでは株式のボラティリティは一定としてヒストリカルボラティリティを使っている。このため市場が現在のように非常にボラタイルな展開となった場合、ヒストリカルボラティリティが上昇し大きなミスプライスを引き起こす。そこでHamilton(1989)を応用して、ボラティリティには「高い状態」と「低い状態」が存在するとして、そのボラティリティが状態変数に依存してスイッチングするスイッチングモデルを適用した。このとき状態変数はマルコフ過程に従っていると仮定した。分析の結果、モデルにスイッチングを取り入れることに一定の効果を確認できた。しかし一方で昨今の急激な相場ではスイッチングモデルでも必ずしも説明できない部分があることが分かった。