Abstract

Moderate deviation のある確率過程とは係数の1 への収束のオーダーがnear unit root 過程よりも遅いlocal-to-unity 過程である。Giraitis and Phillips(2006) やPhillips and Magdalinos(2007) はAR(1) の最小二乗推定量に中心極限定理が成立することを証明した。本研究では誤差項にlinear process を許すMA(1) 過程にmoderate deviation を導入しTanaka(1990) で提案されたScore 統計量の漸近分布を導出した。この結果、収束のオーダーは反転可能過程から単位根過程の間を連続的に変化しており、漸近分布は係数の収束のオーダーにより三つのタイプに分類される。また、係数の収束のオーダーの小さい場合は反転可能過程と漸近分布が一致しているので、反転可能過程と似た漸近特性を持っていると考えることができる。