Abstract

不完全情報構造を用い、構造型と誘導型を組み合わせたハイブリッドモデルの枠組で企業の倒産確率を考察した。企業価値過程が格付に連動するようにモデルを構築し、情報構造については企業価値は離散時点で観測され、倒産バリアは観測不能という仮定をおいた。倒産確率を分析するに際し、企業価値の観測時点で区切られた各期間において、バリアの条件付確率分布を求め、Brownian Bridgeがバリアに到達する確率に対し、繰返し期待値をとることで倒産確率の明示的な解を導出した。これに基づいて、倒産確率と回収率の同時分布、複数企業の相関を考慮したモデルという二つの方向へ発展させる。