Abstract

近年ファクターモデルにおける推定方法として主成分分析の手法を応用した新しい推定手法 (以下,PCAE)への関心が高まっている.PCAE は平易な計算でファクターを推定できるという点で優れているが,理論的には観測期間(T)と同時に系列数(N)が非常に大きいことが必要となる.一方,従来から用いられているカルマンフィルターを用いた最尤推定法は理論上Nが小さい場合において適用可能であるが,PCAEに比べて煩雑な計算が必要となることに加え,Nが増加した場合に推定するパラメータ数が大きく増加するため小標本下では無視できない推定バイアスが生じ,必ずしもPCAEよりも効率的であるとはいえないことが想定される.本報告では両推定方法の小標本特性をシミュレーションによって明らかにし,Nが大きくない状況においてどちらの推定量が効率的であるかの考察を行う.