Abstract

Hosoya (1991)及びGeweke (1982)で提案された周波数領域における因果性測度はスペクトル密度関数とその正準分解の関数であり、パラメトリックな時系列モデルの下ではパラメータの非線形関数となる。その因果性測度はゼロにおいて最小値をとるため因果性が無いという帰無仮説の下での、一次のデルタ法を用いた検定統計量の分布は自明ではない。本報告では二次近似を利用した新たな検定方法を提案する。提案された検定統計量は漸近的にカイ二乗分布の線形和となる。なおBreitung and Candelon (2006)ではこの問題に対して、二変数VARモデルを対象として、因果性測度がゼロであることと同値なパラメータに対する線形制約を提案することによって一つの解決法を提案しているが、本稿における検定はVARモデル以外にも適用可能となっている。