Abstract

本研究では、確率的フロンティアモデルに因子構造を組み込み、日本の実質GDP成長率、マンアワー成長率、実質純資本ストック成長率に含まれる技術的非効率性の識別を試みる。実質GDP成長率やTFP成長率に焦点を当てた実証分析は数多くあるが、同一の経済概念をどのように計測するかに推定結果が大きく依存するため、頑強な結果が得られにくいことが知られている。そこで、本研究は、確率的フロンティアモデルと因子モデルを組み合わせ、データの選択に対して頑強なモデルを構築した。本モデルは、Bai and Li (2016)で用いられている最尤法に基づいて推定される。また、実証分析では、日本の実質GDP成長率、マンアワー成長率、実質純資本ストック成長率の都道府県別データに対して本モデルを適用し、1991年以降、実質GDP成長率とマンアワー成長率の非効率性の間に負の相関が観察されるという結果が得られた。