Abstract

量子コンピュータとは、既存の古典コンピュータとは全く異なる動作原理に従う計算機であり、これまでは膨大な時間を要していた計算問題に対して、大きな高速化をもたらすと期待されている。近年、量子コンピュータの開発が急速に進んでおり、産業応用に向けた研究も始まっている。とりわけ、金融は有望な応用分野の一つに挙げられている。金融機関が日々の業務の中で行っている大変な数値計算の多くに、量子コンピューティングが適用可能であると目されているためである。本講演では、量子コンピューティングの概要と、金融への応用に関する研究の現状を説明した後、最近の私の研究から、「量子振幅推定とチェビシェフ補間を用いたバミューダン・オプションのプライシング」につきお話しする。