I.活動の基本方針

2. 学部・大学院5年一貫教育システム

一人ひとりの学生が大学での勉強を通じて自己の専門性を高め,そうした専門的知識を生かして世界を相手に仕事ができるようになること,そして,そうした専門的教育が行われるなかで,多くの学生が修士号を取得して卒業していくような教育体系を如何に構築していくかということが本学部・研究科の懸案であった。そのために,1994年以降,本研究科は学部教育と大学院教育を有機的に組み合わせたカリキュラムの導入を進めてきた。つまり,本学部・研究科の授業科目を学部入門科目(100番台科目)から大学院専門科目(600番台科目)までに配置し,学部学生であれば100番台科目から300番台科目(学部専門科目)に向かって,一歩一歩階段を昇るように経済学の勉強を進めることができるようにした。同時に,大学院入門科目(400番台科目)については,学部学生であってもこれを履修できるようにした。これにより,優秀な学部学生は学部入学時から自らのペースで計画的に勉強を進め,学部4年生の時点では大学院入門科目までをも履修することが可能となった。他方,本研究科は本学部学生が本研究科修士課程に入学した場合,学部時代に履修した400番台科目については,学部卒業に必要な単位として換算されていない限り,10単位を上限に,それら単位を本研究科で履修・合格したものとみなすことができるようにした。修士課程修了のために必要な単位数は32である。この措置により,本学部から本研究科に進学した学生の修士課程修了に必要な単位数を22まで軽減することが可能となった。

こうしたカリキュラム・制度の改革が進むなかで経済学研究科は2004年度より,4年間の学部教育と1年間の大学院教育(修士課程)を有機的に結合し,学部入学から4年後に学士の,そして,5年後に修士の学位を取得することができるシステムを導入した。この「学部・大学院5年一貫教育システム」(以下「5年一貫教育システム」)は「5年一貫専修コース」と「5年一貫研究者養成コース」からなる。これらコースに参加する学生は,上述の学部時代に履修した400番台科目の大学院履修科目への読み替え,さらに,これらコース参加者のために開設された「インディペンデント・スタディ(4単位)」,また,「ワークショップ(2単位)」を履修することにより,大学院修士課程を1年で修了することが可能である。

「5年一貫専修コース」は「専門職業人養成プログラム」と「一般」からなり,「専門職業人養成プログラム」については,II.4.で詳しく述べる。また,「一般」は「専門職業人養成プログラム」に参加しないものの,学部入学から5年間で修士課程専修コースを修了することを目指す学生が所属するプログラムである。「5年一貫研究者養成コース」は修士課程研究者養成コースに設けられ,このコースに参加した学生も1年で修士課程を修了し,その後,博士課程に進級することができる。

「5年一貫教育システム」の各コースに参加を希望する学生は,学部3年次の冬に選考試験を受ける。これに合格した学生は学部4年次の夏に大学院への入学を正式に許可される。これら学生は学部4年次から大学院入門科目(400番台)の履修を開始し,大学院1年目にはコースワークを継続しつつ修士論文をまとめ,大学院修士課程を修了する。

2007年1月時点での修了者および在籍者数は以下の表の通りである(「5年一貫教育システム」以外の専門職業人養成プログラムについてはII.4.で説明する)。


表T-1:5年一貫教育システム・専門職業人養成プログラム在籍者・修了者数

  5年一貫教育システム その他
研究者養成
コース
専修コース 専修コース
一般
プログラム
専門職業人養成
プログラム
専門職業人養成
プログラム
I期生(2006年春修了) 3 2 5 6
II期生(2007年春修了予定) 2 3 8 6
III期生(2008年春修了予定) 0 1 4 5

2007年1月時点