II.教育活動
3. 教育内容
(1) カリキュラム編成
現行のカリキュラム編成は,表II-4のとおりである。学部の導入・基礎レベル(100,200番台)に始まり,学部専門レベル(300番台)-学部上級/大学院基礎レベル(400番台)-大学院専門レベル(500,600番台)へ至る学部-大学院一貫カリキュラムとなっている。学部と大学院の接点が,大学院基礎レベル400番台科目であり,一定の知識を備え意欲のある学部学生にも開放されている。
各レベルにおける基本科目群はコア科目として,全科目必修または選択必修とされている。100番台の経済学入門,経済思想入門,統計学入門,経済史入門は入門コア科目と呼ばれ,全科目履修することが学部卒業の要件となる。これらは経済学の各領域にかんする基礎知識あるいは基本的な考え方を教える科目であり,経済学部学生にとっては高校教育からの転換・経済学への入門として必須の科目であり,また他学部学生にとってもいわば社会科学の共通科目として有益な科目である(他学部学生が修得した経済学部科目の単位は,教養教育科目の単位に算入される)。入門コア科目は1996年以来,すべて4単位(週2回半年のゼメスタ講義)で開講されてきたが,1998年度に専門教育の積み上げのあり方を見直した結果,1999年度より単位数を柔軟化し,2003年度からはすべて2単位となることとなった。
200番台では,基礎ミクロ経済学,基礎マクロ経済学,基礎計量経済学,基礎経済数学の4科目が中級コア科目とされ,うち2科目の履修が学部卒業の要件である。100番台に続き専門的な科目への橋渡しとして,ミクロ・マクロ理論,計量経済学および経済学に必要な数学の基礎を講じる科目である。200番台には中級コア科目の他に,基礎講義,現代経済I,地域研究の方法,市場と社会,確率・統計,経済語学,経済の日本語(留学生用)等の科目が置かれている。それぞれ主として1,2年次の学生を対象とした基礎的な講義群である。また少人数教育の場として専門教育への転換をはかる基礎ゼミも多数用意されている。
300番台科目はより専門的なレベルの学部教育科目であり,学部卒業要件はこのレベルの講義だけで満たすことが可能である。200番台までの科目の多くが特定の大講座に帰属していないのに対し,300番台科目は,各大講座がそれぞれ責任をもって開講している。
400番台科目には,コア科目として上級ミクロ経済学,上級マクロ経済学,上級経済原論(政治経済学)I,上級計量経済学I,比較経済史,中級ミクロ経済学,中級マクロ経済学,中級計量経済学が置かれている。修士課程においてはコア科目4単位以上の履修が課されている。こうしたコア科目は学部生の履修者も比較的多く,学部教育のレベルアップに寄与している。コア科目以外の400番台科目は各専攻分野にかんする基礎的科目群であり,500番台科目はより専門的な科目群である。修士課程学生向けのワークショップも500番台科目として開講されている。600番台は博士課程学生のリサーチ・ワークショップが主な内容であり,受講生は第一線の研究者の報告を聴き,あるいは自ら研究発表することで,自立した研究者として鍛えられる。
表II-4:経済学部・経済学研究科一貫カリキュラム
学部 | 大学院 | ||||||||
修士課程 | 博士課程 | ||||||||
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 1年 | 2年 | 1年 | 2年 | 3年 | |
500番台 | 大学院上級 | ||||||||
400番台 | 学部上級 修士課程 |
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300番台 | 応用・発展 学部専門 |
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200番台 | 200: 基礎 | ||||||||
100番台 | 100: 入門 | ||||||||
コア科目 | 必修科目: 100番台から400番台まで | ||||||||
ゼミナール | 基礎ゼミ (選択科目) |
必修ゼミ (卒論指導) |
主・副ゼミ (修論指導) |
主・副ゼミ (博士論文指導) |
(2) 単位互換・他大学との交流
大学院生・学部生ともに,研究科委員会・教授会の承認を得た留学については,留学先で取得した講義・演習の単位の単位互換を申請することができる。
また,本研究科と東京大学大学院経済学研究科の間には1989年度から学生交流にかんする協定が結ばれている。この協定にもとづき,経済統計および経済史の講義について学生の派遣・受入が実施されている。さらに,経済統計については,2002年度より,東京工業大学との間でも単位互換を始めている。
学部レベルの交流制度として,1997年度から始まった多摩地区国立5大学単位互換制度がある。これは東京外国語大学,東京学芸大学,東京農工大学,電気通信大学,一橋大学の間で学生交流・単位互換を行うものであり,5大学の学生は各大学が指定する講義を履修することができる。このほか東京工業大学との交換授業が商・経済両学部の教員によって実施されている。
(3) 四大学連合
本学と東京医科歯科大学,東京工業大学,東京外国語大学の四大学は,それぞれが有する研究教育の内容に応じて連携を図り,これまでの高等教育で達成できなかった新しい人材の養成と,学際領域,複合領域の更なる推進を図ることを目指し,「四大学連合」を結成した。現在,この連合に基づき,本学,東京工業大学,東京医科歯科大学との間で「複合領域コース」の制度が設けられている。この制度は,所属大学在学中に各複合領域コースで定められた履修科目・所定単位を修得し,かつ卒業要件を満たした場合にコース修了を認定し,学部卒業資格を付与するものである。本研究科は東京工業大学との「文理総合コース」,また,東京医科歯科大学との「医療・介護・経済コース」に関係する講義を提供している。前者のコースにはマクロ経済学,ミクロ経済学,経済数学などを中心とする講義を,また,後者には医療経済論,医療保険論,医療産業論,財政学,ミクロ経済学,計量経済学,統計学などに関する講義を提供している。