IV.国際交流
1.留学生の受け入れ状況
本学が受け入れてきた学部留学生は,1970年代から80年代前半にかけては毎年20名程度であった。この中には毎年数名の国費留学生が含まれており,学部の正規課程に入学し,学士号を取得して卒業するという長期留学の者がほとんどであった。本学における留学生の受け入れ体制は1980年代後半に本格的に整備された。表IV-1に示すように,経済学部・経済学研究科に在籍する留学生は, 2006年10月1日現在で100名近くになっている。本学部・研究科は日本の政府・公的機関の奨学金による留学生,外国政府派遣の留学生の受け入れに積極的に対応してきた。国費留学生は2005年度に学部生13名・大学院生2名,2006年度に学部生12名・大学院生3名である。
表IV−1:経済学部・経済学研究科に在籍する外国人留学生の数(各年度10月1日)
年度 | 長期留学生 | 短期留学生 | ||
学部学生 | 大学院学生 | 学部学生 | 大学院学生 | |
2000 | 26 | 71 | 5 | 20 |
2001 | 27 | 80 | 4 | 11 |
2002 | 25 | 68 | 4 | 17 |
2003 | 24 | 64 | 5 | 21 |
2004 | 20 | 55 | 8 | 13 |
2005 | 20 | 71 | 7 | 12 |
2006 | 22 | 50 | 5 | 19 |
(1) 学部生
長期留学生の学習意欲は旺盛で,多くの学生は,言葉や生活習慣の違いによる困難さも乗り越えて,優秀な成績をあげている。しかし,その一方で,日本語を中心とした留学のための予備教育が不十分なままで来日し,本学部に入学する留学生もいる。そうした留学生の学習上・生活上の問題に対応する体制も重要である。そこで本学部では,留学生担当教員1名を1988年より採用し,さらに,本学全体としては1996年度に留学生センターを設置した。現在,留学生への日本語教育あるいは勉学や生活相談などは,留学生センターのスタッフおよび留学生担当教員が精力的に行っている。
近年,本学と学術交流協定を結んでいる大学との交換留学生の数が増えている。かれらの滞在期間は1年,あるいは半年というケースが多い。短期留学生を受け入れることにより,本学の国際的なネットワークの拡大が期待される。また,そうした留学生を通して異文化に接し,学生・教員がグローバルな視野を形成することも大事である。他方,短期留学生の日本語能力が十分ではない場合も多く,そうした短期留学生に如何に十分な教育を行うかという問題も大事な課題となってきている。
(2) 大学院学生
表IV-1に示すように,本研究科の大学院に在籍する留学生の数は長期,短期ともに学部在籍の留学生よりも多い。長期留学生は本学あるいは日本の他大学学部から本研究科大学院に進学した者,また,本国の学部卒業後に短期留学生(外国人研究生)として本研究科に在籍し,その後,本研究科の入試に合格,長期留学生として入学した者が多い。多くの留学生の勉学に対する熱意は非常に強く,課程博士を取得する留学生の数は年々増加している。
学部および大学院における留学生の受け入れは,今後も増加するものと考えられる。このこと自体は大いに歓迎すべきことであるが,留学生担当の教員や職員の増員など,留学生の増加に対応できる十分な受け入れ態勢を整えることが必ずしも容易でないことも事実である。