III. 研究活動

2. 研究科教員の研究公表機会

本研究科教員は国内外の学会誌・研究誌に多くの論文を発表しているが,それに加えて本研究科独自の研究発表の場として以下のものがある。それらの多くは大学と同窓会(如水会)とから構成される一橋学会からの財政的な援助に基づいている。なお,その他に,本研究科独自の研究発表の場として『一橋研究』があるが,これは本学大学院生が主体となって発行し,院生の学界へのデビュー作が数多く掲載される雑誌である。また,『経済研究』は本研究科教員も寄稿し,高い質の実証的な研究を多く掲載するが,これは本学付属の経済研究所が発行する季刊誌である。

(1)『メルク』

『一橋論叢』は1938年創刊の一橋大学の全学的な月刊研究誌であった。年2回『経済学研究科特集号』が組まれて,本研究科の研究成果の発表の場となってきた。大学院生の寄稿に対してはレフェリーによる審査が行われ,研究者への登竜門としても機能してきたが,2007年度よりはスタッフ・ペーパーを中心とした総合学術誌『メルク』としてとして再発刊され、これまでに3号が刊行されている。


(2)『一橋経済学』(『一橋大学研究年報経済学研究』)

1953年に創刊された研究誌『一橋大学研究年報経済学研究』は,専任教員にのみ寄稿が許された研究年報で,多くの教員がライフワークを公表する場となってきたが,2006年より,大学院生の投稿論文もレフェリーを経て掲載される『一橋経済学』(年2回刊行)に発展的に改組された。本『一橋経済学』もまた,教員,大学院生の研究成果を国内外に発表する場として益々の充実を図っている。


(3)Hitotsubashi Journal of Economics

1960年に創刊された英文ジャーナルであり,年2回発行されている。国内外の研究者からの投稿も認められており,投稿論文に関しては,レフェリーによる審査をパスしたものが掲載される。世界67カ国の423研究機関に定期的に送付され(表V- 2参照),Journal of Economic Literature のリスト(Econlit)にも含まれている,国際的に認められた経済学専門誌である。海外からバックナンバーの注文を受けたり,本誌に発表された論文が論文集(Readings)に転載されることもしばしばある。


表III-2:Hitotsubashi Journal of Economics の送付先一覧

欧米29カ国287機関
アジア,アフリカ,中近東26カ国107機関
中南米10カ国20機関
オセアニア2カ国9機関
合計67カ国423機関

(4)Discussion Paper Series of Graduate School of Economics at Hitotsubashi University

本研究科では既に1982年から理論経済学・経済統計学を専攻する教員が中心となって,Discussion Paper Series of Research Unit in Economics and Econometrics(RUEE)を発行してきたが,1998年度からは新たに経済学研究科全体のディスカッション・ペーパー・シリーズとして標記のシリーズの刊行を開始した。現在までに142冊が出版され,教員の研究成果をいち早く国内外に公表することに役立っている。