フラクタル集合および複素力学系の入門講義(計8コマ分担当)です.
(講義で配布したプリントをまとめたものはこちらです→
12W-tenbou.pdf
)
第4回(2012/10/29,最終回) 2次関数の力学系
● まず前回のつづきで,一般の複素2次関数による力学系が zz + c の形の関数による力学系と共役であることを証明.
● そのあと,力学系が「無限の鉢」と「充填ジュリア集合」
に分割できることを解説.具体例や一般的な性質を解説.
● 最後に |c| > 2 のとき,充填ジュリア集合が全不連結(カントール集合)になること説明しました.
とくに,ある種のIFSとみなせて,記号力学系と共役であることも解説しました.
第3回(2012/10/22) 漸化式から力学系へ
● まず前回のつづきで,相似変換からなるIFSが「開集合条件」をみたすとき,
アトラクターの相似次元・ボックス次元・ハウスドルフ次元が一致する,
という定理を述べました.(証明はしない.)
これで,IFSのフラクタルに関しては一旦おわりです.
● そのあと,2次多項式が生成するフラクタル図形に関するDVD
(理学部紹介DVD)を観せました.
● 漸化式を固定したとき,初期値を変えて得られる数列の全体を調べる,
という目標を掲げ,
次にそれを「力学系」の言葉で言い換えるまでのアイディアを説明しました.
● 最後に,力学系の共役という概念を導入して,
一般の複素2次関数による力学系が zz + c の形の関数による力学系と共役であることを定理の形で述べたところで終了.
第2回(2012/10/15) IFS と次元いろいろ
● 前回のつづきで,カントール集合とコッホ曲線のレシピを紹介.
これを IFS(反復関数系)として一般化しました.
● IFSの基本性質として,自己相似性を持つ不変集合(アトラクター)が一意に
存在し,これが上記のレシピで作られるものと一致することを定理として主張.
コンパクト集合間のハウスドルフ距離,
縮小写像の固定点定理を用いるエレガントな証明を紹介しました.
● 最後に相似変換からなるIFSについて,
アトラクターの相似次元・ボックス次元・ハウスドルフ次元を定義しました.
カントール集合やコッホ曲線では,これらの次元が一致することを述べたところで終了.
第1回(2012/10/1) フラクタル集合
● まずシラバスを配布し講義全体の説明.プロジェクタで絵を見せながら,
フラクタル図形の例(海岸線,カリフラワー,木,カントール集合,コッホ曲線,
シェルピンスキーガスケットなど)を見せました.
● つぎにフラクタルの一番基本的なレシピとして,
カントールの3進集合の(IFSを用いた)構成を解説.
● カントール集合の諸性質(全不連結性,非可算性など)を定理として掲げ,
約半分を証明,約半分をレポートとしました.
最後に,コッホ曲線も同様のレシピ(IFS)で構成できること述べたところで終了.