研究対象としての統計学や計量経済学を理解するためには、数学の知識が不可欠です。したがって、統計学や計量経済学に興味をもって深く勉強したい学生は、関連科目として、微積分や線型代数などの数学科目をおおいに履修して、基礎的な勉強を積み上げて行ってください。
他方、経済学の応用として経済データを使って実証分析をしたい学生は、統計学や計量経済学の基礎的な勉強のほかに、ミクロ、マクロ経済学や情報処理関連の科目を履修して、コンピュータによる経済データ分析の方法をマスターしてください。
100番台必修科目の「統計学入門」は、上記いずれの学生にとっても基本的な授業です。ここでは、集団現象に関して調査・観測して得られる統計データから、その中に含まれている情報をいかにして取り出すか、そのための方法としての統計学―記述統計-を学びます。例えば、ヒストグラムや散布図を作ることは最も基本的な方法ですが、デ-タさえあれば、コンピュータは即座にやってくれます。しかし、コンピュータの結果が必ずしも最良とは限りません。コンピュータの結果をうのみにすることなく、統計的判断を介在させ、試行錯誤を繰り返すことにより、よりよいヒストグラムを描くことが可能になります。このことは、ほんの一例ですが、統計的な考え方は、そのようなフィードバックを経て形成される部分が大きいことを強調したいと思います。
「統計学入門」は、データを整理してまとめる方法をメイン・テーマにしていますが、統計学は、それで使命を終えるのではありません。データは、さまざまな制約から、調査・観測対象の一部の結果にすぎない場合が普通です。ですから、データだけからの情報を検討するだけではなく、データを含め、その背後にあってデータとしては実現しなかった全体に思いを馳せる必要があります。そのためには、確率の概念を使った統計学―推測統計―が必要になります。200番台選択科目「確率・統計」は、そのための基礎的な授業であり、統計学を深く勉強したい学生にとって必須の授業です。冒頭に述べましたように、数学的にも、きちんとした知識が必要とされます。
さらに、200番台では、選択必修科目として「基礎計量経済学」があります。「統計学入門」は履修済み、「確率・統計」も履修済み、あるいは同時履修していることが前提要件となります。ここでは、理論を学ぶと同時に、コンピュータを使って経済データを分析することが主な内容です。ミクロやマクロ経済学の知識も必要ですが、日頃から現実の経済に興味をもち、問題意識をもって取り組むことが大切です。
300番台科目は学部発展科目であり、100、200番台の科目を前提にして、「統計学I・II」、「経済統計論A・B」、「数量経済分析」、「情報科学総論」、「金融工学概論」があります。さらに、大学院科目である400番台科目の「中級計量経済学」、「上級計量経済学」、「上級統計学I・II」、「計量経済学特論A-F」、「確率論I・II」、「確率・統計特論A-F」、「ファイナンス経済論A・B」、「中級計量ファイナンス」、「計量ファイナンスA・B」、「計量ファイナンス特論A-F」などを履修することができます。(なお、年度によって開講されない科目もあります。)
統計学関連の科目は、積み上げ方式で基礎から段階的に勉強する必要があります。この観点からカリキュラムは作られていますから、頂上をめざして、一段一段、着実に上って行ってください。
♣ 日本統計学会
♣ 統計関連学会連合
♣ 関西計量経済学研究会
♣ 情報処理学会
♣ 日本計算機統計学会
♣ 統計解析向けのプログラミング言語(The R Project for Statistical Computing)
♣ Pythonと深層学習について(実行環境・講座サイトなどの情報をまとめています。)
♣ 情報処理学会公開教材(Pythonの基礎などが学べます。)
♣ 総務省統計局データサイエンススクール
♣ G-GOVデータポータル(中央行政のオープンデータポータルです。)
♣ G-Stat(日本の統計が閲覧できる政府統計ポータルサイトです。)