(課題1) デジタルエコノミーによる企業の立地と国際貿易の変容
@グローバル化とデジタル化が進む東アジアにおける経済統合に関し、全21本の学術サーベイ論文を書籍として取りまとめた。A情報技術と通信技術の導入が生産ネットワーク内貿易に与える影響について、重力モデルを用いて実証分析を行った。Bデジタル化の進展による距離概念の変容が集積のメリットに与えた影響と、その結果としてグローバリゼーションと分業体制がどのように変容していくかを分析した。C単一のプラットフォーム(PF)に、サービス提供者と消費者が同時に参入する二面市場について、ゲーム機のようにPF財が物理的に貿易されるケースに注目し、それに対する輸入税の影響について理論的に考察した。D音楽配信サービスの浸透が音楽CDの国際貿易に与える影響を分析した。Eオンラインビジネスとオフラインビジネスの比較検討を行い、オンラインビジネスの理論モデル構築を開始した。
(課題2) デジタル技術の発達に伴う国内的・国際的コンフリクト
デジタル技術の発達に伴う国内的・国際的コンフリクト:@デジタル化時代におけるASEAN諸国の知財保護についての国際共同研究の成果を書籍として取りまとめた。Aデジタル化の進行や新型コロナ蔓延、地政学的緊張の増大を踏まえつつ、東アジア経済統合の含意と今後の展望について議論した。Bデジタル化とグローバリゼーションが同時進行する中で順応できず取り残される主体が出てきたが、そのことがどのように新たな異質性や格差を生みだすかを研究した。C国際的電子商取引に対する消費税の課税方式について整理するとともに、課税方式の違いが経済に及ぼす影響について理論モデルを用いて分析を行った。D新型コロナの貿易に対する影響とEコマースの関係について、世界の月次貿易データを用いて実証分析を行った。EAIとロボットに関する技術革新が世界経済に与える影響を、特に労働市場への影響について分析した。
2021年度研究業績(実績報告書より抜粋) pdf(39KB)
(課題1) デジタルエコノミーによる企業の立地と国際貿易の変容
@東アジア地域の電子商取引の現状と政策課題に関する共同研究の成果を15章からなる書籍として取りまとめた。A国の間で越境電子商取引の利用率に大きな違いが生じる要因について検討した。B越境電子商取引の浸透は新型コロナの国際貿易に対する影響を緩和すると推測されるが、その推測を実証的に検証した。Cゲームコンソールを代表例とするプラットフォームに、サービス提供者と消費者が同時に参入する二面市場を考え、プラットフォームの並行輸入許可の効果を理論的に分析した。D経済産業研究所で別途実施した日本の企業に対するデジタル・データの越境移転に関するアンケート調査結果を、政府統計(企業活動基本調査)のミクロデータとリンクさせて統計的分析を行った。Eデジタル化の進展はデジタル化された財・サービスや生産要素の輸送コストを大幅な低下させるが、この特徴を取り入れた理論モデルを構築した。
(課題2) デジタル技術の発達に伴う国内的・国際的コンフリクト
@多国籍企業の移転価格操作に関してOECDが定めたアームズレングス原則が、タックスヘイブンが存在する場合に無形資産のライセンス戦略や経済厚生にどのような影響を及ぼすかを理論的に分析した。Aデジタルエコノミー下では企業の立地選択が容易になるが、多国籍企業誘致のための政府間税率引下げ競争の理論的フレームワークを新たに提示した。Bロボット化と人工知能の採用が労働市場に与える影響を分析するためグローバル・バリュー・チェーンを組み込んだ国際貿易モデルを構築した。Cコロナ禍でデジタル経済がどのように浸透しているかについて、1万人を対象にNIRA総研と共同調査を行った。Dメコン地域の長期的開発戦略を検討する中で、デジタル技術の利用によって包括的かつ持続可能な経済成長をどのように実現していくのかを分析し、政策提言を行った。
2020年度研究業績(実績報告書より抜粋) pdf(87KB)
(課題1) デジタルエコノミーによる企業の立地と国際貿易の変容
@デジタル技術の発展は、ロジスティックスの効率化を可能にし物流費用の削減にも貢献する。 この関係をモデル化するために、輸送コストを導入した貿易モデルのサーベイを行うとともに、応用可能なモデルを抽出した。Aデジタル化に対応した輸送・流通技術やインフラが貿易に与える影響について、双方向市場の特性に注目しながら、既存研究の整理をするとともに理論モデルの構築を開始した。BICTの進展に伴い、広く普及した、特許・ソフトウェア・商標権といった知的財産の国境を超えた企業間のライセンスの分析を行った。CICTによりアジアでオフショアやリショアがどのように進んでいるのかを分析した。D企業の越境データ移動の実態調査を行い、第4次産業革命が貿易に与える影響について考察を加えた。Eデジタル化
もあって進展しているグローバル分業に新型コロナウイルスが与えるであろう影響について展望した。
(課題2) デジタル技術の発達に伴う国内的・国際的コンフリクト
@G20大阪サミットThink20の貿易タスクフォースで、自由なデータフローをバックアップする諸政策に関するポリシー・ブリーフ作成に携わり、その成果を論文に纏めた。Aデジタルエコノミーの進展は、サービス産業の拡大のみならず製造業のサービス化も促している。経済のサービス化がいわゆる長期停滞を招く理論的枠組みを構築し、開放経済体制のもとでの経済成長が所得分配に与える影響について分析した。Bグローバル化の進展とデジタル化の進展が同時に起こった場合の、貿易構造への影響および国内の所得分配への影響を分析するための理論モデル構築を開始した。Cキャッシュレス経済では、単にキャッシュを使わないというだけでなく、サービス提供事業者に決済関連の情報やデータが集まるという特徴がある。この特徴が産業構造に与える影響を分析した。
2019年度研究業績(実績報告書より抜粋) pdf(129KB)
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