ICTの進化によって、企業組織は分化され、様々な場所に分散が進み、労働形態も多様になると考えられる。これにより、いわゆる「リショアリング」が進む可能性がある。どのように産業集積や海外生産ネットワークが変容するのかについて、まず各国の貿易データを用いて実体を解明し、企業立地を軸に空間経済理論や国際貿易理論の分析手法により考察する。
デジタル技術の発達は中小企業の生産性も高めるであろうし、デジタル技術に基づく新流通技術は、情報コストの削減を通じて中小企業の輸出を促進すると考えられる。つまり、新流通技術は、売り手と買い手のマッチングを容易にしたり、評価システムの構築によって財の質や取引相手の信頼性に関する情報の非対称性を小さくしたりする。さらに、デジタル技術の発達によって輸送や在庫といった貿易費用を削減することも可能だろう。本研究では、デジタル化に対応した輸送・流通技術やインフラが貿易に与える影響について、産業経済学の知見を援用して理論モデルを構築し、それに基づく実証分析を行う。
自由なデータ移動を真に実現するためのバックアップ政策については、米欧の間でも大きな対立があり、また中国などでは全く異なる政治哲学により政策が設計されていて、世界各国でバラバラに導入されているのが現状である。まずはそれらの政策のストックテイキングが必要であり、さらに進んで国際的な調和、国際ルール作りへと進んでいく必要がある。
本研究では、課税制度の在り方にまず重点を置き、現状の制度を整理・検討した上で、理論モデルの構築と分析を行い、ルール・メーキングの示唆を得る。
また、デジタル技術の発達によるグローバリゼーションの進展が国際的・国内的コンフリクトを発生させるメカニズムを、国家間の所得分配と国内の所得分配に与える影響について同時に考慮することによって明らかにする。さらにはそのコンフリクトの発生を最小化する(もしくはコンフリクトを乗り越えることを可能にする)経済システムの設計を探求する。
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