この班は、システムの社会的【善】【悪】の評価に必要な情報的基礎の在り方と、形成される評価の特徴を研究する。伝統的な経済理論が依拠してきた帰結主義的な評価方法(経済システムの【善】【悪】評価を専ら【帰結】に即して判定する方法)に対して、Rawls以来、Dworkin, Elster, Senなどによって、本質的な批判が提起されてきた。この研究史と理論的選択肢のスペクトラムを反映して、この研究班では3つのサブ・プロジェクトを構成して研究を進める。第1サブ・プロジェクト(制度・ルール・政策の規範的評価の理論的枠組、鈴村)は、規範的評価の枠組を精密に検討して様々な方法の特徴、長所、短所、相互比較を体系的に研究する。第2サブ・プロジェクト(規範的評価の社会思想と経済学説、鈴村・西沢)は、厚生経済学と社会的選択理論の歴史的展開過程に即して規範的評価の社会思想と経済学説を跡付け、思想史的・学説史的観点から理論的研究を肉付けする。第3サブ・プロジェクト(規範的評価に関する厚生主義と帰結主義、蓼沼・吉原)は、厚生主義と帰結主義を公理主義的に研究して、この伝統から離反する最近の理論的展開の意義とその限界を研究する。
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